【セミナーレポート】『~何となく、自信が持てないあなたへ~目標達成のための心理学』
『~何となく、自信が持てないあなたへ~目標を達成するための心理学』
鳥取県地域若者サポートステーションオンラインセミナー
2023年11月16日、鳥取県地域若者サポートステーションでは、就職氷河期世代の方を対象に『〜何となく、自信が持てないあなたへ〜目標を達成するための心理学』をオンラインで開催しました。
現在、サポステでは、働くことについて悩みを抱える15歳から49歳までの方を対象に、「働きたい!」という気持ちにじっくり寄り添い、相談やコミュニケーションなどを学ぶ講座、就業体験など様々なサポートを通して「働くこと」や「働き続けること」をサポートしています。
スキルがあるにも関わらず、自信が持てなくて、自分らしく働くことが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか?今回のセミナーでは、みなさんが自信を持って前に進めるよう、心理学のアプローチから考えていきます。
講師は、カウンセリングルームたいよう 代表の松田 寿ーさんです。公認心理士として、伝統的カウンセリング技法から、最新の技法まで様々な心理療法を用いて悩みを解消するサポートを行う松田さん。参加者のみなさんを勇気づけ、一歩を踏み出す希望へつながる心理学のお話を語っていただきました。
「なぜダメなんだろう?」
ーー漠然とした不安を上手く乗り越える心理学的アプローチーー
松田さんご自身も就職氷河期に就職活動を行なった経験をお持ちです。スキルや能力があっても、就職できなかったり、非正規雇用だったり、年齢が高くなるとリストラの対象になったりと就職氷河期世代の辛さを目の当たりにしてきたと言います。
松田:氷河期世代の方には「なぜダメなんだろう、理由がわからない」という漠然とした不安があると思います。
私も職場での対人関係に悩んだことがありました。でも心理学を学ぶことで、困難をうまく乗り越え、カウンセラーとしての道を切り開くことができました。自分自身が心理学を学んで良かったなと感じたことをみなさんにお伝えし、明日からの生きる希望にしていただきたいと思います。
参加者のみなさんからの事前のアンケートを読んで熱い気持ちを感じたと語る松田さん。就職活動や、職場、普段の生活で役に立つ心理学の実践方法へと話は展開していきました。
悩みは解消できる。「もうダメだ」と絶望しないでほしい。
まずは、受講生のみなさんご自身で「人はなぜ悩み苦しむのか」、「なぜ自信がないのか?」、「なぜ就職できないのか?」について書き出し、頭を整理する時間をもうけました。
松田:現在悩んでいるとしても、「成長すること」で悩みを解決することができます。今の自分の状態で悩んでいても辛いだけです。でも成長すれば、将来自分の目標を達成することにも繋がります。
では、成長するにはどうすればいいのでしょうか?松田さんが示したのは、次の3つのポイントです。
1.知識を得る
人間関係で悩んでいるのであれば、本を読む、Youtubeの動画で自分に合うものを見つけて学んでみるなどすると知識を得ることができます。
2.スキルをみがく
知識を実際に使うことによって、自分のスキルをみがきあげることができます。
3.感情をコントロールする
「嫌だな」「怖い」などの思い込みや感情をコントロールする方法を身につけることも大切です。マイナス感情をコントロールする方法の一つに、「感情を感じ切る」という方法があります。
肋骨の真ん中の辺りを触って、「不安だ、怖い」と感じ続けていると、10分から15分で不安や怖さが消えていき、前向きに生きようという気が生まれてきます。
松田:悩みは成長するチャンスです。悩んだ時には、「どうすれば成長できるか」を考えてみてください。
前向きに生きるための3つのこころの柱ーー自信を持って目標を達成するためにーー
つづいて松田さんが説明するのは、自信を持ち前向きに生きるために必要な3つの要素です。
1.ポジティブ思考
ポジティブ思考は、「健康寿命が伸びる」「想像力が伸びる」「社交的になる」「忍耐力・ストレス耐性がつき行動力が上がる」など良い状態をもたらすとされています。
松田:朝カーテンを開けた時に「よし今日もやるぞ!」という気持ちになるような「前向きにものごとに取り組む」考え方が、ポジティブ思考です。
2.自己肯定感
自己肯定感とは、今のありのままの自分を受け入れること。役に立っている時に感じる感覚の「自己有用感」や、自分ができることに感じる「自己効力感」とは別のものになります。
松田さん:たとえば「働いていなくても自分でいい」と思えるのが自己肯定感です。大切なありのままの自分を愛している状態です。
3.人生の目的
松田:私自身は、「自分の人生を楽しむこと」が人生の目的だと思っています。みなさんにも、「あなたを楽しんでほしい」とお伝えしたいです。人生を楽しむことを目的にすると、ポジティブ思考になり自己肯定感も高まっていきます。
自分が楽しいと、「あなたも楽しんでね」と周りの人に対してもポジティブに接することができるという松田さん。ご自身の趣味であるゲームの話を例に「楽しいことがあると、つらいことも耐えることができます」と参加者のみなさんに穏やかに語りかけてくださいました。
言葉が人生を作る。ーーあなたが使う言葉が、人生をポジティブにするーー
次に、「前向きに生きるための3つのこころの柱」の中から「1.ポジティブ思考」について深く掘りさげていきました。
松田さんは、「家の中を見回して、青いものを探してみてください。」と参加者のみなさんに問いかけました。
松田さん:黄色のものには何がありましたか?みなさん、青ばかり探していて黄色のものが目に入らなかったのではないでしょうか。これを「フォーカス理論」と言います。人は自分の見たいものをみる生き物なので、ネガティブな人はよくないものばかり、ポジティブな人は明るいものばかり見ようとしています。
つまり、ポジティブな見方をするには、見るものを変えることが大切になります。
松田さん:毎日を「幸せだ」と感じて生きている人と、「不幸せだ」と感じている人の差はなんだと思いますか?違いは「言葉」です。言葉が見るものを決め、生き方や考え方を作っているんです。自分にかける言葉が前向きだとポジティブで幸せになり、ネガティブだと不幸せになってしまいます。
「自分に対しての質問の仕方によって人生が変わる」と松田さんは話し、同じことに対しても「問いを変えるだけで答えが変わり気分が変わる」ことを丁寧に解説されました。ここで参加者のみなさんに提示されたのが「Qチェンジの法則」です。
たとえば「どうして、自信がなく劣等感を持っているの?」と質問すると、幼少期のことを思い返し、良くない場面を思い出す傾向があります。「どうして?」という質問は、辛い過去から答えを探すので、怒りや不安、恐怖などのマイナス感情の原因です。
そこで、自分に対しての質問を「どうして」から「なんのために」にチェンジさせてみます。
松田さん:「なんのために、自信がなく劣等感を持っているんだろう?」と問いかけると、「将来的にこうなるために今は劣等感を持っているんだ」と前向きに考えることができます。
質問を「今、何をするのがベストだろう?」「今日は、どんな良い事が起きるだろう?」「このおかげで、将来どうなることができるだろう?」など未来を見据えるものに変えることで、気分がポジティブに変化するのです。
松田さん:ぜひ今日から、質問の仕方を変えてみてください。感情や思考、行動を変えることで、自分の人生の手綱を握ってほしいと思います。
目標を紙に書き出そうーー目標は達成するためにあるのではなく喜びを味わうツールーー
次に、人生の目標設定についてのお話に展開していきました。人生を楽しむためには、具体的な目標を立てることが大切になってきます。
松田さん:楽しいを人生の目的にして、「こうなったらとても楽しい!」と考えをめぐらせてほしいと思います。
「この会社に入ったら楽しい」、「この会社でこうなるんだ」など、自分が幸せな気分になることを探して紙に書き出してみてください。五感を使って、感情を動かしてみましょう。「みんなで笑っているイメージ」をするのもいいですね。
目標を書く時のポイントは、具体的に断定的に書くこと。「〇〇社の正社員になる」「自分に合った仕事をみつける」など「こうなる!」と心に決めて書くことです。そして、目標は実現した後を意識して設定することが重要だと松田さんは言います。
松田さん:就職を目標にするだけでなく、就職した後にどうしたいのか考えて、ワクワクした気分を味わってもらいたいなと思います。
松田さんが強調するのは、目標は達成するためにあるのではなくて、喜びを味わうツールだということです。
松田さん:達成するかしないかではなく、「こうなったら嬉しくて楽しい」という感情が重要です。目標を、自分の気分を良くする道具として使ってほしいと思います。感情をポジティブにすることが一番大切なことです。
「明るい未来を感じながら思いを書き出すと、ポジティブ思考になる」と話す松田さんの表情はとてもイキイキとしていました。「目標を書き出してみたい!」と感じた参加者も多かったのではないでしょうか。
松田さん:今という時間に感謝しながら、将来の喜びを考えて見てほしいと思います。寝る前5分でいいので、目標のリストを眺めてみてください。
「雲外蒼天」ーー自分の未来は幸せだという、確信を持って生きるーー
松田さんは、カウンセリングルームで出会った方の事例をもとに、「目の前で起きている上手くいかないことも、現時点で判断することではなく将来は成功につながる可能性がある」と話します。
松田さん:私自身も、人間関係に悩んだ時期があったおかげで、今はカウンセラーとして活動することができています。現状ですべてを判断して落ち込まなくてもいいんです。「幸せに近づいている」という確信をもって、自分を幸せにする方法を考えてみてくださいね。
最後に、紹介されたのは「雲外蒼天」ということば。辛いことや困難を乗り越えた後には、明るい青空のような未来があるという意味です。
松田さん:自分の未来を信じ、プラスの気持ちを持って、雲の上にはかならず青空があると信じてください。今辛い状態であっても、言葉や質問を変えるなど、ぜひ今日お伝えした方法に取り組んでみてください。皆さんの人生がより良いものになることを願っております。
【参加者からの質問】ーー努力しようがしまいが、あなたの人生はすばらしいーー
今回のセミナーには、実際に就職活動を行っている方に加え、支援者の方にも多数ご参加いただきました。みなさんから事前に寄せられた質問への松田さんからの回答をご紹介します。
Q:自分の価値観を大切にして生きていく方法を教えてください。
松田:自分の幸せを大事に、楽しく生きると良い変化が起こってきます。そして自己肯定感は言葉を変えていくとすごく高まるんです。自己肯定感を高めるアファメーションに、「自分の名前にありがとうとつける」というものがあるのでやってみてください。
Q:モチベーションを維持するにはどうしたらいいですか?
松田:自分自身も目標がないとき、人と比べてしまっていた時期がありました。人と比べるのをやめて、「自分はどう生きたいか」と問いかけてみてください。それが見えてきたら、「どうやったらやる気が出るかな?」と考え、楽しんで目標設定をしたり、ポジティブになるもののリストを作ってもらえたらと思います。
Q:自信を持てるかどうかは、性格と関係がありますか?
松田:性格は、もともとの生まれ持っている性質と経験知識で形作られています。「もともとダメだから自分は自信がないんだ」と卑下しないでください。
たとえ自信がなくて上手くいかなくても「自信がない自分、できない自分もそれでいい」と認める。すると「それはそれでいいかな」と自分を手放すことにつながります。そこでようやく、「どうしたら自分らしく生きられるのかな」と考え行動できるようになります。
みなさん、「がんばらないと幸せになれない」と思い込んでいませんか?
努力することや、がんばる・がんばらないに関わらず、あなたの人生はすばらしいんです。
自分を大切に思うことで、人は幸せになっていくことができます。
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限られた時間の中に、役立つ心理学のアプローチをぎゅっと詰め込んで伝えてくださった松田さん。就職を目指す方の背中を押し、「一歩を踏み出してみたい」という勇気につながるセミナーになりました。松田さん、参加者のみなさんありがとうございました。
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